【2】未来を耕すデザイン:吉沼から始まる共感資本社会
第2回:【Where】なぜ「つくば市吉沼」なのか? 〜人と人の関係が育ち続ける地域の土壌づくり〜
みなさん、こんにちは。LITANOVA(リタノバ)主宰の竹内利枝です。
前回の記事では、私自身の原体験から生まれた「健康・教育・地域は分けられない」という想いと、LITANOVAが目指す「共感資本社会」についてお話ししました。
第2回となる今回は、私たちがその実践の舞台として、なぜ茨城県つくば市吉沼という地域を選び、ここで何をつくろうとしているのかをお伝えします。
なぜ「吉沼」だったのか
今年の春、私は家族とともにつくば市吉沼へ移住します。きっかけは、たまたまのご縁でした。
移住先として吉沼を選ぶ少し前から、前年のチャレンジショップ挑戦者の方のデザインをお手伝いしていて、吉沼の雰囲気や人の温かさはすでに知っていました。
そのご縁が、吉沼という場所を身近にしてくれていたのだと思います。

背中を押してくれたのは、自閉症の娘のことでもありました。
今春から小学生になる娘は、大人数の環境が少し苦手。
今住んでいるつくば中心地の学区は人数が多く、ずっと「もう少し小さな環境に」と思っていました。
吉沼小学校は1学年1クラス。娘にとっても、ここならきっと伸び伸びできると感じました。
そして、LITANOVAの構想とも、ぴたりと重なった。
農業があり、人のつながりがあり、地域ごと一緒に育っていける場所。
気づけば「ここしかない」と思っていました。
たまたまの縁が、娘への想いと、LITANOVAの夢と、三つ重なった場所が吉沼でした。
吉沼の豊かな資源と、直面している課題
LITANOVAの現在の拠点「吉沼まちかどテラス」は、つくば市が運営するチャレンジショップ事業の場で、期間限定の出店です。
しかしこれはあくまでスタート地点。チャレンジショップが終わった後も、吉沼に自分たちの拠点をつくり、活動を続けていくために、いま着々と準備を進めています。
この場所での一つひとつの実践が、その未来への土台になると信じています。

豊かな農業の営みがあり、人のあたたかなつながりや昔ながらの地域文化が今も残る吉沼。
しかし同時に、日本の多くの地域が抱える課題にも直面しています。
人口減少や高齢化が進み、子どもの数が減り、地域活動の担い手不足が深刻になっているのです。
こうした課題に対して、外部から一時的に入り込んで単発のイベントを行い、地域を「支援」するというアプローチもあります。しかし、私たちはそうした形はとりません。
LITANOVAは、地域活動を外から支援するのではなく、「地域の中で一緒に実践する存在」でありたいと考えています。

単発のイベントではなく、「関係性が育ち続ける土壌」をつくる
私たちが吉沼で本当にやりたいのは、「人と人の関係が育ち続ける地域の土壌」をつくることです。
どんなに立派な種(新しい企画やプロジェクト)を蒔いても、それを受け入れる土壌、地域の人々のつながりや関係性が耕されていなければ、未来に希望の芽は育ちません。
その土壌づくりの土台として、地域の有志が運営する「吉沼、元気!協議会」があります。
2018年、つくば市周辺市街地振興課とともに行った勉強会をきっかけに、市内8地区それぞれで活性化協議会が立ち上がりました。
吉沼、元気!協議会もそのひとつです。住民・事業者・団体などが一緒になって、地域の人が自然に関われるきっかけをつくり続けてきました。
私も今年からその輪に加わらせてもらい、リブランディングのお手伝いをしています。

「ハレ」と「ケ」をつなぐ、マルシェと朝市
人が自然に集まり、関係性が生まれる仕組みとして、私たち吉沼、元気!協議会は2つの場づくりを行っています。
ひとつは、「吉沼マルシェ」。ライブやダンスのステージのパフォーマンス、地域の農家さんや飲食店、作家さん、そして子どもたちも参加し、地域の人と外から来る人が大きく交流する場です。
地域の魅力をまるごと感じてもらえる、にぎやかな場になっています。

そしてもうひとつ、私が4月の移住後に中心となって立ち上げるのが「吉沼朝市」です。
月に1回程度開催する小さなマーケットで、農産物や地域の食、手づくり品などを通して、日常の延長で気軽に集まり、交流できる場を目指しています。
大きなイベント(ハレの日)だけでなく、日常的なつながり(ケの日)を生む場があること。
この両輪が回ることで初めて、地域の土壌は豊かに耕されていきます。
そして、この地域との強いつながりがあるからこそ、LITANOVAが展開する「Kids Design」や農業体験「吉沼キッズファーム」といった教育・共創のプロジェクトが、地域に根を張って育っていくのです。

まずは、吉沼の空気に触れに来ませんか?
私たちはこの吉沼で、大人も子どもも一緒になって土を耕し、未来を育てていく「共感資本社会」の小さなモデルをつくりたいと本気で考えています。
「地域活動に興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」
そんな方は、ぜひ一度、チャレンジショップ、吉沼マルシェや吉沼朝市に遊びに来てください。
地域の美味しい食や、あたたかな人との会話。
私たちがつくろうとしている「土壌」の空気を、肌で感じてもらえるはずです。

次回第3回は、【What】をテーマに、この吉沼の土壌の上で私たちが具体的にどのような事業(社会を耕すデザイン)を展開しているのか、LITANOVAの6つのアプローチについて詳しくお話しします。どうぞお楽しみに。
